2025年10月28日を目標に設定するLCA(ライフサイクルアセスメント)の実践 - サステナビリティを語るだけでなく実践する

LCAの範囲設定が結果を大きく左右するという事実

ライフサイクルアセスメントに取り組むとき、最初に決めなければならないのが評価の範囲です。原材料の調達から製造、輸送、使用、廃棄まで、どこからどこまでを対象とするのか。この境界の引き方によって、算出される数値はまったく違う姿になります。自社工場だけを見れば良好な結果が出るのに、調達段階まで含めると印象が変わる、というのはよくある話です。範囲設定は技術的な手続きではなく、実質的な意思決定だと理解しておく必要があります。

だからこそ、結果を外部に示す際には範囲を明記することが不可欠になります。数値だけを取り出して比較しても、前提が違えば意味を持ちません。逆に、範囲を丁寧に説明したうえで示された数字は、たとえ見栄えが良くなくても信頼を得ます。評価の目的が自社の改善にあるのか、対外的な説明にあるのかによっても適切な範囲は変わるため、着手前に目的を言語化しておくことをおすすめします。

サプライチェーン全体のデータをどう集めるか

LCAで最も労力がかかるのは、計算そのものではなくデータの収集です。自社内の使用量であれば記録から拾えますが、調達品の製造過程で生じた影響については、取引先の協力なしには把握できません。しかし取引先にも事情があり、情報の開示に慎重な場合もあれば、そもそも自社で把握できていない場合もあります。ここで無理に押し込もうとすると、関係を損なうだけで前に進みません。

現実的な進め方は、影響の大きい品目から順に絞り込むことです。取引金額や使用量の大きいものを優先し、まずはその範囲で精度を上げる。残りは一般に公開されている参考値で暫定的に補い、段階的に実データへ置き換えていく。この割り切りがないと、完璧なデータを求めて何年も着手できないという事態になります。取引先にとっても、限定的な依頼の方が応じやすいという利点があるでしょう。

算出した数値を改善行動に結びつける道筋

LCAの結果が出ると、どうしても総量の大小に目が向きがちです。しかし本来の価値は、どの工程がどれだけ寄与しているかという内訳が見えることにあります。全体の大半が特定の原材料に由来しているのであれば、その調達先や仕様の見直しが最も効果的な打ち手になります。逆に、細かい工程の改善に労力を割いても、全体への影響はわずかにとどまるかもしれません。優先順位を決める材料として使うことが肝心です。

そして、改善の検討には設計や調達の担当者を早い段階から巻き込むべきです。環境部門が単独で結果を抱えていても、実際に仕様を変えられるのは別の部署だからです。数値を共有するだけでなく、どこを変えるとどう効くのかという形に翻訳して渡す。この一手間があるかどうかで、評価が単なる報告書で終わるか、実際の製品改良につながるかが分かれてきます。