最近、私たちのサイト「Sustainable Business Hub」でよく話していることなんですが、やっぱり「サステ...

サステナビリティを収益につなげるときに立ちはだかる壁

サステナビリティをビジネスの力に変える、と言葉にするのは簡単なんですが、実際にやろうとすると壁がいくつも出てきます。よく聞くのが、投資判断の場面で回収期間を問われて詰まってしまうという話です。環境負荷の削減は数字で示せても、それが売上や利益にどう跳ね返るのかを説明しづらい。この翻訳作業でつまずいている企業は、想像以上に多いんじゃないかと思います。

ただ最近は、状況が少し変わってきている実感もあります。取引先から条件として求められる、採用の場面で効いてくる、資金調達で評価される。こうした形で、間接的にではあっても経営に影響する経路が見えてきた。だとすれば説明の仕方も変わるはずで、単独の投資として採算を論じるのではなく、事業を続けるための前提条件として位置づける。この整理の方が、実態に合っているケースは多いように感じます。

現場が動き出すのは数字より納得が先だという話

もう一つ、意外と見落とされがちなのが現場の納得感です。上から目標が降りてきても、なぜそれをやるのかが腑に落ちていなければ、作業は形だけになります。記録は取るけれど活用されない、改善提案は出てこない。そういう状態を何度か見てきました。数字を管理する仕組みを整えることと、意味を共有することは、別々に手当てしないといけない課題なんですよね。

効いてくるのは、自分の担当業務との接点が見えることだと思います。この工程を変えるとここが減る、この材料を切り替えるとこう変わる。抽象的な全社目標ではなく、手元の作業との距離が近い話にすると反応が変わります。逆に言えば、そこまで分解して伝えられていないなら、まだ計画が実務に落ちていないということかもしれません。少し手間ですが、この分解作業は省かない方がいいと感じています。

これからの数年で差がつくのは蓄積があるかどうか

今後を考えたとき、差がつくのは着手の早さより蓄積の有無じゃないかと思っています。取り組みを一年続けると、前年との比較ができるようになる。三年続くと傾向が見えて、改善が効いたかどうかを議論できる。この土台があるかないかで、次の一手の精度がまるで違ってくるんです。派手な発表より、地味な記録の積み重ねの方が、後から効いてくるという実感があります。

だからこそ、最初に組む仕組みは続けられる範囲にしておくのが大事だと思います。理想的だけれど手間がかかりすぎる仕組みは、担当者が変わった瞬間に止まります。少し粗くても継続できる形で始めて、必要になったら精度を上げていく。この順番の方が、結果的に遠くまで行けるはずです。完璧を目指して止まるより、動き続けている方が強い。そんなふうに考えています。